クラスルームに着くと
ちょうどナオミ先生が入るところだった。
ナオミ先生は、ネイティヴの血が混じっていて
とてもエキゾチックな美人だ。
ナオミって、珍しい名前なんだけど
先生の民族の言葉では、
大事なものって意味なんだって。
ステキだよね。

で、授業は、粘土の歴史について・・・

ありえない。
あたしってば、歴史が最も嫌い。
ヴィデオとかの映像で見るのは、
なんとか、ついていけるんだけど、
先生の声とパワーポイントでは、
ただ眠くなるだけだ。

だいたい、粘土に歴史があるなんて、
びっくりだ。
授業するくらい、大事なのか?
なーんて、考えてたら、
すっかり、ナンシーのことを
思い出しちゃった。

ナンシーが、粘土の課題を出されたら
何を作るのかな~
もしかして、プリシラ?
それとも、別のものなのかな~

考え事をしてると、
隣の席に座ってる
ボビーが、にやにやしてる。
なんで?

ボビーは、ダンサーで歌手の
とっても魅力的なラテン娘と
結婚したばかりで、
ここのところ、なにに対しても、
ものすごく、優しい。
もともと優しいひとだったのに、
ますます優しいので、びっくりだ。
愛するひとと一緒に住むと
こんなにも、周りに優しくなるのね~
あたしも、早くそうなりたい。

でも、このにやにやは、違う。
優しさではない。
あたしのことを見てなのか、と思ったが、
なんと、思い出しニヤニヤだった。
なんて、幸せなヤツだ。

前を見ると、ローラが、
無我夢中で、授業に没頭中。
ものすごい勢いで、ノートを取ってる。
あとで、見せてもらおっと。

窓際には、クールに決めたジョンが、
指をくるくる回して
なにやら構想を練っているようだった。
彼は、いつも、クールに
何かの構想を練っている。
でも、その構想を聞いたことがない。
いつか、聞いてみたいと思いつつ、
クールすぎて、聞きにくいのだ。

最も後ろの席には、
医師から転向してきたパットが
いつも通り、つまんなそうに
教科書を開いていた。
美人なのだが、全く化粧っ気がなく
乾いたクールなのだ。
あたしも、前の大学で、
ちょっとだけ医学を学んだ経験があるので、
何かと話しかけてくる。
でも、あたしは、中退組だし、
パットみたいにバリバリの優秀な医師だった
ひとから話しかけられるのは、びっくりだ。
作品は、とっても独創的だ。
ありえないくらいの理系なのだ。
まあ、アートだから、なんでもいいんだけど。

で、先生の講義が一通り終わり、
質問は?と言っている。

すかさず、パットが手を挙げる。
パットは、いっつも、つまらなそうに
授業に参加しているくせに、
質問だけは、欠かさない。
なんか、難しげな質問を連発するので、
興味がないときには、
ちょっと、聞いてるのも、しんどいくらいだ。

今日は・・・

粘土の色彩についての先生のご意見を

だそうだ。
粘土の色彩ね~
ナオミ、答えられるかしら。

リンダも、負けてない。

粘土の原材料と質感・触感の違いを
もっと詳しく説明してほしい

なんと、クールなジョンまで、

粘土は、なぜ、粘土という名前になったのですか

だって。
そんなこと知って、どうするんだろう。

それより、課題、課題。
あたしは、自分の課題のための
構想を練ることにした。

つづく・・・