たっだいま~♪

だーれもいないお部屋だが、
元気よく、あたしは、帰宅。
今日は、なんだか、ごきげん。
学校で、帰り際に、みんなと
力強いハグをしてきたからだと思う。
ハグは、大好き!!
あんまり好きでないひとからでも、
ハグされると
ちょっと好きかも~って思ってしまうかも・・・

あたしのお部屋は、
変形の3LDK。
まあるい形の中庭に向かって
小さいお家が5つ建っている
アパートメントハウスのなかの
ひとつが、あたしのお家。

駐車場兼ポーチをすぎると
すぐに玄関になる。
玄関ドアは、オレンジ色で、
壁は、モスグリーンの可愛いお家だ。
見た瞬間に、気に入って決めた。

もともと、60年代のアーティスト全盛期に
アーティスティックに建てられた
アーティストのためのアパートメントなのだ。
家具から家電・備品にいたるまで、
作りつけであり、その色彩センスも、
かなりパワフルだ。

玄関を入ると
台形のような形のリビング。
リビングには、オレンジ色のソファーに
小さなティーテーブル
小さなオレンジ色のテレビ、
そして本棚が5つ。

そして、小さなスペイン風のキッチン。
木枠に木棚でできていて、
とっても可愛らしいキッチンだ。
でも、ちょっと大きめのオーブンレンジに
食器洗浄機と30個は入るスパイスラック。
なぜか観音開きの大きめグリーン冷蔵庫。
ちょっと奥まった
小さなスペースがランドリールームになっていて、
4人家族用みたいなグリーンの洗濯機と乾燥機。
そして、真っ赤なお勝手口がある。

リビングの右側の台形の短い方側に
階段があり、2階がある。
2階は、サンルームのアトリエと
ベットルームにバスルームだ。

このサンルームのアトリエが、
ものすごーく作品を作りたくなる
とっても輝いているお部屋なのだ。
実際、このお部屋にいると、
発想が次々湧いてくる。
ふかふかのサンルームチェアに
座ってしまうと、
ちょっとした悩み事さえ
無くなってしまう。

ベットルームは、
重厚なピンクでまとめられており、
天蓋のついたベットが
でーんと中央にあり、
かわいいドレッサーがついている。
奥の小さなスペースが、
ちょっとしたウォークインクローゼットだ。

ひとりで学生が住むのには、
かなり高級チックだが、
大家さんに、あたしの作品を認められたので
破格の家賃で住んでいる。
そう、このアパートメントハウスは、
アーティストであることが、
住人の条件であり、
大家さんに作品を認められないと
住めないのだ。

この大家さんに、あたしの作品が
認められたときには、
あたしは、ものすごく嬉しかった。

でも、破格の家賃とはいえ、
もちろん、ベーカリーショップとかの
バイトだけでは、生活できない。

あたしは、別の特技を生かした仕事で
結構な収入を得ているからこそ、である。

その特技とは・・・
なんだと思いますか?

うふふ~

高校時代からなのだが、
あたしは、未来が見えるのだ。
というと、御幣があるが、
じっと、目の前のひとを見ていると
未来のイメージがフツフツと湧いてくる。
そして、そのイメージを
水彩画で描くのだ。
なんと、このリベラルで
神秘主義が珍重されるサンフランシスコは、
その水彩画が、結構な値段で
売れるのである。
あたしは、ある画廊の一角に
専用のスペースを持ち、
そのスペースで、
このインスピレーションで得た
イメージを
ひたすら描いて、売っている。
顧客は、かなりの数がいる。

本当は、このお仕事だけで
食べていけるのだが、
ものすごく集中力が必要なので、
あまり長時間や何人もは、
いまのあたしの体力では、無理なのだ。

だから、気が向いたときに、
ひとりふたりを描き、
あとは、気楽なバイトをしているというわけ。

いつか、水彩画ではなく、
造形的なもので、
このお仕事をしてみたいと
思っている。
そのためのいまの大学だ。

さあ、ステキなサンルームに入ろう。
今日は、満月だ。
全身に月の光を浴びながら、
インスピレーションのままに、
粘土をこねまわした。

つづく・・・