プリン・プリン・プリン
って心の中で
プリンをたべてにっこりしてる
あたしをイメージしてたのに・・・

  さあ、つぎは、こっちよ

スカラにまたまた腕を引っ張られて
あたしは、別のワーク会場に
入ってしまった。

そこは、「性的な問題を抱えたおとなたち」
のためのワーク会場だった。

ひさびさにトランスだけでない
性的なシェアリングだ。

あたしは、思いっきり
くつろいでいた。

スカラは、強姦体験からの
セックスワーカーへの道のりを
語る。

なんとスカラは、いま、
セックスワーカーのシェルターの
代表になっているらしい。

あたしは、仰天する。
スカラのバイタリティーと
その勇気に、感動だ。

セックスワーカーが
最も被害を受けること、
それは強姦だ。
と繰り返し語るスカラ。

強姦という
そのトラウマをセルフケアするために
果敢に自らまた強姦にチャレンジする
というパターンから
セックスワーカーになり続けてしまう、
という辛いループを語り続ける。

にんげんにとって、
性的な行為は、最も親密で無防備な
コミュニケーションのひとつだ。

スカラのシェアを聞きながら、
あたしは、
トランス前とトランス後の
性的コミュニケーションの
変化を考えていた。

そして、強姦という
強い響きのことばから
あたし自身の体験を
思い返す。

あたしが、被害者であることも
そして、加害者であることも
ゆるぎない事実であることを
自覚するときの恐怖ったらないけど、
だけど、だけど・・・・・

あたしが“正しい”“適切な”
そしてあたしたちにとって
安全な性的コミュニケーションを
とり続けていた、という
自信は、なかった。

あたしは、そのことに
直面しながら、
恐怖と戦っている。

そして、さっきの
催眠ワークで出てきた
胎児のあたしと
ママの不安を思い出す。

ぶくぶくしたあの羊水のなかで
あたしは、何を
ママからもらったのだろう・・・

ママは、おんなであることに
恐怖していた。
初めての妊娠。
協力的でない、仕事ばかりのパパ。
身重の身体で、友だちとも会えず
孤独な不安で
張り裂けそうだった
ママのこころ。

まだ催眠ワークが続いているかのように
白昼夢のような
イメージが湧いてくる。

そう、オトコになりたかったのは、
ママだったのだ。

あたしは、そのことに気づいたとき
あまりのことに、
言葉を失った。

あたしは、そのせいで、
というか、
そのために、
オトコに生まれてきたのかもしれない。

でも、オトコになりたかったママは、
やっぱりオンナのままで
ずっと不安を抱えていたのだ。

あたしは、本当は、
オンナで生まれてくるはずの胎児だったのに
ママの不安と恐怖のために
オトコになってしまったのだったとしたら。

科学的には、よくわからないけど、

でも・・・・でも・・・・

あたしは、
オンナの気持ちと
ママの気持ちと
そして、オトコだったときの気持ちを
思い出して、
ひどく納得できたのだ。

ママの不安は、
あたしのどこまで
くっついているのだろうか。

つづく・・・

参考HP
【性暴力情報センター】
http://www.macska.org/saic/