外へ二人で出ると
ジョニーもランチなのか、
さっき出たところらしかった。

ステキにウインクして
ジョニーも一緒にという
ことになり、
三人でテクテク歩いた。

さわやかな青空に
ちょっぴり冷たい風。
厚手のフリース上着を
ぬくぬくと着て
あたしは、ご機嫌だった。

なんとなく歩いているようで
べティーがしっかり
誘導してくれていた。
そこは、シーフードレストランだ。

白いヨットのマークが可愛い
真っ白な木と
ブルーの壁の
まさに海をイメージしたお店。

  可愛い!

思わず、中に入ると
ジョニーと二人で
小さく叫んだ。

お店の中は、
ドアを開けるとなんと
白い小さな石が
敷き詰められていて、
テーブルごとに
パラソルが広げられている。

天井は、三階分くらいまでの吹き抜けで
全く圧迫感がない。

流木のようにしっかりした
大きめの木で作られた
テーブルと椅子に
華やかなパラソルは、
南国気分だった。

そして、そこここに
椰子の木が
置かれていて
波の音がBGMで流れていた。

完璧だ。

あたしは、浜辺のバカンスにきた、
そんな気持ちで
うっとりした。

ひまわり柄のパラソルの
テーブルに案内される。

テーブルの上には、
コンロがはめこまれていて、
BBQのようにできるシステムだ。

あたしたちは、
写真つきのメニューを見て、
じっくり食べるものを
選んだ。

お魚に海老やカニ、
そして、貝などを
野菜と同じように
満遍なくオーダーする。

ほどなく、ウエイターが
コンロの火を点けてくれた。

あっというまに、
魚介類と野菜が
大きな木のボウルにのって
やってきた。

お魚は、テーブル専属のウエイターが
ウエイター用の
テーブルから張り出した部分の
小さめコンロを出して
フライパンでグリルしてくれる。

あたしたちは、
歓声をあげて、
それぞれ好きなものを
コンロに乗せて、
焼き始めた。
パンまでも、焼いてしまう。

オリーブオイルや塩をつけて
シンプルに味わう
魚介類や野菜やパンは、
最高の味だった。

あたしたちは、熱々の
食べ物を焼いたり
食べたりすることに
忙しく
黙々と食べてしまう。

お腹いっぱいになりそうになると
貝殻やカニなどの殻と
残った野菜で、スープを
作ってくれた。

これが、あっというまにできるのに
また絶品。
何もかものエキスが入って
優しい味だ。

すっかり堪能し、
やはり焼いてサービスしてくれる
デザートが置かれ、
濃い珈琲がやってきた。

珈琲までも、
仕上げは、コンロでと
徹底したテーブル料理だ。

デザートは、プリンやアイスを
ケーキスポンジで巻いて
焼いてくれた。
その上に、ダークチョコや
ホワイトチョコでコーティングされた
マシュマロを焼いて飾ってくれる。
最後に、ベリーソースを温めて
それをかけてくれると
じゅっと音がして、
美味しさをそそるのだ。

満腹でも、やっぱり
音と匂いで我慢できず
デザートも堪能した。

デザートと珈琲のときになって
ようやく、あたしたちも
会話を始める。

べティーとジョニーの話を
まとめるとこうだ。

ナンシーは、本社の事務の仕事であった
リズの仕事内容を
保護施設でやることになったのだが、
その1日めから、
リズに、ひっきりなしに
電話をかけてきて、
同じことばかり聞くそうだ。

事務室にリズがいると
テレビ電話までかけてくる。

そして、ナンシーは、細かい字で
いつもメモを取っているらしいのだが、
それでも、毎回最初の
パソコン操作の段階から
質問してきて、リズがそろそろ
我慢の限界にきているとのことだった。

勤務時間中、ほとんどこの
ナンシーからの電話に
時間を割かれてしまい、
リズは、本来の仕事もできないでいる。

リズに仕事をとられたと思っている
プリシラからも嫌味を言われるし、
ほとほと困ってしまい、
チーフのべティーや
ベテランのジョニーが
リズの仕事を手伝っているそうだった。

あたしも、時間があるときには、
手伝ってほしいといわれたので、
リズの声を思い出し、

  はい、ぜひ

とお願いしておいた。

ナンシーの記憶システムは、
いったいどうなっているのだろう。

あたしは、その異常な電話に
驚くばかりだった。

つづく・・・・