こんばんは~
  何か美味しいもの、たべさせて~

いつものチャイニーズレストランに着き
ベトナム人店主のおじさんに
甘えながら挨拶した。

すると、ボビーと妻シンディとジョンが
来ているから、同じテーブルにする?と
聞いてきた。

あたしたちは、うれしい偶然に驚きながら
ボビーたちのテーブルに向かう。

ボビーは、いつもの優しい笑顔と
心憎いほどのレディーファーストを
発揮してくれて、椅子をひいてくれた。

まだ、テーブルには、
料理が並んでいなかったので、
いまオーダーしたばかりというのが
わかった。

あたしたちの大好きな
スーランタンスープがまだだったので
それをオーダーし、
あとは、ライス料理を追加した。

ジョンは、クールな授業の雰囲気とは
一転し、悩み多き青年になっている。
今日も、ボビーに人生相談をしているところだった。

あたしたちがいても大丈夫?と聞くと
一緒に聞いて欲しいと言って
淋しそうに笑った。

そんなこともお構いなしに、
あたしたちは、さっきのお店で
ゲットした品物を広げ
大自慢大会を始める。

あたしは、碧の石を
大事そうに天井の光にかざし、
みんなにその素晴らしさを
アピールした。
みんな、このモルダバイトが
宇宙の意識を受信していることに
オリエンタルな魅力を感じたようだった。

ひとりひとりに、手にとって
見てもらうように、石をまわした。
すると、店主までが触りたいと言い出した。
あたしは、店主に渡すと、
店主は、ありがたそうに両手で包み
なにやらベトナム語で唱え始めた。
どうも願いごとをしているようだった。
ベトナムでは、石に願い事をする
風習でもあるのかしら。

ボビーは、石をすかしては見て
その成り立ちや石の素材を
丁寧に調べている。

シンディは、石を手に
瞑想し、過去を探っているように見えた。

ジョンは、おっかなびっくりの様子で
石を触って、感電してしまうかのように
あっというまにローラに渡した。

ローラは、石を手に、
歌い始めた。
その即興の歌は、あたしたちを
爆笑と癒しに誘ってくれた。

ほどなく、スープが来た。
絶妙な酸っぱさと辛さと甘みの
ブレンドされたこのスープは、
あたしたちの元気の源だ。
まさに、オリエンタルな知恵が
全て入っている味がする。
からだ中に、元気が充電された。

ローラは、スープを飲みつつ、
いかに自分のマンダラが
素晴らしいかを
立ち上がって、絵を見せつつ
説明を始めた。

ジョンは、怖そうな顔をしている。
ジョンにとって、オリエンタルなものは、
恐怖な秘密のなかにあると思っているようだった。

ボビーとシンディは、
興味深そうに絵をながめ、
なにやら討論し、
ローラに説明を求めていた。

店主までもが、絵にお祈りを始めている。

そのあいだに、いろんな料理が
並べられ、あたしたちは、
元気よく、たいらげていった。

ジョンの悩みは、最近始めた
スペイン語が上達しないことだった。
どうも、最近は、スペイン語しか
話せない娘との恋愛が始まったみたいだ。

シンディは、持ち前の流暢なスペイン語を
披露して、ジョンに丁寧な指導を始めた。

ジョンは、真剣に聞き、
ことばをリピートするが、
あまりに真剣すぎるため、
一音一音はっきりしすぎて
ことばとしてまとまらないようだった。

シンディは、音のまとまりを
ジョンに教えるべく、
歌のようにメロディーを作って
それを何度も繰り返してくれた。

あたしたちも、そのメロディーは、
楽しくって、マネしては、
ちょっとしたリズムをつけたりしてた。

ジョンは、すこしづつ、緊張もほぐれて
にっこり笑いながら、この調子で
やってみると言っている。

ようやく、場がなごんできて、
ボビーとシンディは、
情熱的なラテンダンスを披露してくれた。

それは、ブラボーなダンスで
シンディの女性らしい魅力が
最も発散されるように
計算されつくしたような
美しい愛のダンスだった。

あたしたちは、ちょっと
愛の熱さにあてられながら、
そのリズムに引き込まれて、
手や足を動かして
笑い続けた。

サンキュー!!
ラブななかまたちの夜は、
最高だった。
店主まで入り乱れての
ラテンダンスは、
ほかのお客さんまで踊り始めて、
とってもブラボーだった。

あたしたちは、
すっかり陽気なラテンに
のせられて、
ブラボーな夜を過ごした。

つづく・・・